工作などの「ものづくり」に関する自由研究を行う上でのコツやヒントなどを、札幌芸術の森 木工専門員 加賀谷 健至さん、版画専門員 上田 政臣さんにお聞きしました。(2016年4月インタビュー)
「ものづくりの自由研究」で、大切なことはどのようなことですか?
上田さん
あったらいいなということを書き出してみましょう。そうすると、最初の部分でやりやすくなると思います。
そして、一番大事なのは、楽しくやってみることです。
加賀谷さん
せん門の木工分野でお話しすると、材料としての木材の特ちょうを学ぶことです。
木材は生きている材料です。呼吸(こきゅう)もする、曲がる、反る、われるなどの特ちょうがあります。それが生きている材料と言われるゆえんです。その特ちょうを学んで、楽しみながらやることですね。
「ものづくり自由研究」のテーマを決めるポイントは?
上田さん
いろいろなものにさわってみましょう。今では、パソコンとかスマホなどでたくさんの画ぞうを見ることはできますが、実際にさわってみないと分からないことが多くあります。
何をやったらいいか分からない場合は、博物館や美術館、動物園や図書館などにいって体感することがいいと思います。
加賀谷さん
木工分野でお話しすると、2つのポイントがあります。
- 木の様子(えだや板のかたち、木肌(木のかわ)、色、木目など)を観察してテーマを決める。
ものづくりを行う上での注意点はありますか?
加賀谷さん
木材を加工するためには道具を勉強する(体験する)ことが大切です。自由研究に取り組む前に以下のような体験をしてみましょう。
・切る⇒のこぎり ・くぎを打つ⇒玄能(げんのう)、木づち ・けずる⇒カンナ、やすり、小刀など
ご自身が行った自由研究で面白かったものは何か
上田さん
ゴム動力で動く「からくりそうち」をつくったことです。調べもせずに自分でせっけい図に書いて作りました。あまり、出来の良いものではなかったのですが、とても楽しかったです。自分の中で「からくり」ってすごいと思い、やってみました。とても楽しかったので印象に残っています。
加賀谷さん
えんぴつでトーテムポールを作ったことです。カッターでえんぴつをけずって作りました。クラスメートにポキポキおられてしまいましたが、とても記おくに残っています。身近なもので、自分のアイディアで作ったことが、強い印象として残っています。
北海道の小学生へのメッセージ
加賀谷さん
きょう味を持ったことをやってみましょう。それに向かって、楽しもうという気持ちで取り組んでください。
木は北海道の子どもたちが身近に感じるものです。しかし、あまりにも身近すぎて、見過ごされてしまいます。木の板の他にえだ、葉っぱ、皮、根っこ、木の実など使える部分はいっぱいあります。生きている素材である木を使って、楽しんで自由研究に取り組んでください。
上田さん
積極的にチャレンジしていきましょう。最初からむずかしいとか出来ないとか決めつけないことが大事です。
保護者の方へ
保護者の自由研究の関わり方は?
加賀谷さん
基本的には、すべてに関わって良いと思います。大切なのは、子どもとの距離。子どもが目標やテーマを決めるまで、我慢強く見守ってあげてほしいです。一緒に考えることもあると思いますが、ゴールを誘導することがないようにしてほしいです。
上田さん
楽しくやる状況を親が一緒に作っていくことが求められると思います。親が見守って、場合によってはきっかけを与えてあげることが大切です。
子供が自由研究を行なう意義は?
加賀谷さん
これから、中学・高校と進むと答えを出さなくてはならないことが出てきます。小学生の時こそ答えがない自由研究に取り組むことは必要だと思います。
上田さん
自由研究には学びの本質的な部分がかくれているような気がします。教科書に載っていることを暗記するだけでは、「考える力」は不足するかもしれません。自分で考える力を伸ばすという点で自由研究というのは格好の教材になるような気がしています。
自由研究のきっかけを与えるため、どのようなことが必要ですか?
加賀谷さん
「さあ自由研究を始めましょう!」では、なかなか何をしたらよいか思いつかないのではないかと思います。普段の生活の中において、目に入るものすべてに、興味を持つこと、またその面白さに気づかせることが大切だと思います。
保護者の方へのメッセージ
加賀谷さん
ゴールにたどり着くまでが大事です。そこまで見守ってあげてください。親が何かをさせるのではなく、親も一緒に取り組んであげる。一緒に学びましょう。
上田さん
見守ってあげてください。忍耐強く見てあげてください。そして、頑張ったと褒めてあげてください。勢いをつけてあげるために励ますことや促すことが大切です。