自然に関する自由研究を行う上でのコツやヒントなどを、北海道博物館の学芸員 水島未記さんにお聞きしました。(2016年4月インタビュー)
「自然の自由研究」で、大切なことは?
”楽しみながらやること”ですね。
自分が小学生のころでも、毎日観察を続けることは大変でしたが、楽しんでやるとできました。楽しめるテーマを見つけることが大切です。自然観察は、続けてやることが多いので、自分が楽しめるもので取り組みましょう。
「自然の自由研究」のテーマを決めるポイントは?
自由研究は、「これは不思議だな」とか、「なぜこうなるのだろう」などのぎもんをとき明かすことです。ぎもんを持つには、ふだんから自然を見ることがポイントです。
自然観察は、自分の周りの自然でも十分にできます。
例えば、校庭や近くの公園を見て、「何でだろう?」ときょうみや関心を持ってその様子を覚えておきましょう。その様子を覚えておいて、目線を変えたり、見方を変えたりすると、みんなが気付かないことを発見できたりします。わざわざ遠くまで行かなくても自然観察はできます。
自然観察を行う上での注意点はありますか?
2点あります。
①ちがう目線で見てみましょう。
ふだん歩いている場所でも、しゃがんでみるとか、下をのぞいてみる、落ち葉や石をどけて見るなどのことで、新しい発見が生まれます。例えば、”その辺の石をひっくり返して、生息している虫を見つけるだけでもりっぱな自由研究”になります。
②五感を使ってみましょう。「見る、さわる、においをかぐ、音を聞く」などです。
いくら写真で見たとしても、実物はまったくちがうものです。例えば、よく写真などで見かけることがある虫や動物でも実物をじっくり観察すると、こんな動きをしているのかなどの発見をすることがよくあります。
観察した生き物をどのように調べたら良いでしょうか?
図かんでは、のっていない種類のものもあります。そんな時には、博物館の学芸員に聞いてみるのも、よいでしょう。博物館は、展示(てんじ)を見るところだと思われていますが、せん門家がいるので、いろいろ教えてくれたり、相談にのってくれたりします。
観察した生きものの調べ方は、
- どんな生き物がいるか。
- 場所を変えて調べてみる。
- ちがいの原因はなにか。という順番で調べてみましょう。
自分の庭で調べたとしたら、次に校庭でどんな生き物がいるかを調べて、くらべてみましょう。そうすると、環境(かんきょう)との関わりとか他の生き物とのつながりを分かってきます。
そして、ちがいの原因は何か調べてみましょう。例えば気温とか明るさや生えている植物がちがうのかなどをひかくしてみると面白い研究になります。ちがいが分かることも大事ですが、”ちがいがないことが分かることも大きな発見”です。
小学生へのメッセージ
北海道は郊外(こうがい)に行くとゆたかな自然があるめぐまれた環境(かんきょう)です。北海道では、都会のすぐ近くにクマが出没(しゅつぼつ)することがありますが、これは世界中を見わたしてもほとんどありません。北海道のゆたかな自然を見つめなおすきっかけに、自由研究はなると思います。こういうことは、住んでいるとなかなか気づかないことですね。
保護者の方へ
保護者の自由研究への関わり方は?
お子さんにどれだけ気づかせてあげるかがポイントです。具体的には、お子さんと一緒に考えてあげることです。答えを教えることではありません。保護者の関わりは、答えではなく、気づきやヒントを与えたりすることだと考えます。
子供が自由研究を行なう意義は?
自由研究は、学校の授業や課題では経験できないことをやれることです。自分で課題を見つけ、調査してみて、自分なりの答えをみつけることは、将来必ず役にたつものだと思います。
自由研究のきっかけを与えるため、どのようなことが必要ですか?
一緒にいろいろ外に出て行くことではないでしょうか。自然観察は実体験がないと面白くありません。博物館などで開催している自然観察会なども活用できますよ。そこでは、視点の変え方や見方などいろいろ教えてくれます。
保護者の方へのメッセージ
是非、お子さんと一緒に楽しんでほしいです。嫌々関わると、そういう気持ちが子どもにも伝わってしまいます。また、自由研究は親子のコミュニケーションにも使えます。同じ宿題でも、算数などの宿題は教えるだけのことが多いですが、自由研究は一緒に取り組めるものです。一緒になって楽しんでほしいです。